&Cider | 柚子果汁とぶしみそ

&Cider (Yuzu Juice and Bonito Miso)


以下は雑誌inCiderJapanの第5号に掲載された記事です。


サイダーを楽しむ方法は無数にある。&Cider(アンドサイダー)の目的は、そのさまざまなアイディアを読者の皆さまと探求することである。サイダーをどのように楽しむか考えた時、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは食べ物とのペアリングではないだろうか。フードペアリングが上手くいくと、ごく普通の食事が忘れられない体験へと変わる。サイダーに関していえば、ナッツ、チーズ、カレー、ローストチキンやポーク、クリームソースを使った料理が合うといわれている。つまり、ざっくりとした法則は、りんごと相性の良い食材や料理はサイダーとも相性が良いということだ。

では、まだサイダーが食文化の一部として浸透していない国ではどのように合わせれば良いだろう。一般的に和食はビールや日本酒と合うとされているが、サイダーとのペアリングもできるのだろうか。本誌の「Noge West End」のレビュー記事(p14参照)をお読みいただくと分かる通り、その答えは間違いなくイエスだ。実は我々はこれまでに、寿司、餃子、椎茸のグリルなどのアジア料理とサイダーを合わせたテイスティングで手応えを感じている。効果的なペアリングのコツは、まず、サイダーそのものの特徴を理解すること。さらに、使われているりんごの種類と、それらがサイダーに与える特性を把握すること。そして、その知識をもとに、料理とマッチングすれば良いのだ。

しかしながら、この記事を通して一番伝えたいことは、あまりストイックになりすぎないことである。「Aは絶対にBとペアリングしなければならない。CはどうしてもDと合わせなければ美味しくない。」という固定概念は持たないでほしい。もちろん、サイダーと相性の悪い食材や料理だってある。ペアリングに失敗しないためのガイドラインだって存在する。ただ、頭で考えすぎても楽しくない。ならば、「実験」すれば良いではないか。それなら自分でもできるうえ、なにより楽しい。

その「実験」の機会が昨年の冬、高知県に数日間出張した時に訪れた。(高知県はとても素晴らしい場所なのでまだ行かれたことのない方には是非おすすめしたい。)出張中、あまり買い物をしなかったが、サイダーと合わせてみたいと思った物が2つあり、迷わず購入した。1つは、高知市の有名な日曜市で手に入れた、100%の土佐柚子果汁ボトル300mlを一本。もう1つは、鰹節工場見学の際に、新商品だと紹介された、鰹節がブレンドされた「土佐のぶしみそ」の小瓶だ。個人的に柚子も鰹節も大好きなので、この2つの商品がどのようにサイダーと合うか試したかった。

柚子果汁とサイダーの相性が良いことは簡単に予想できた。なぜなら、(1)すでに柚子果汁を使ったアメリカのサイダーがいくつかある、(2)多くのサイダーはカクテルとして色々なものと混ぜても美味しく飲むことができる、(3)柚子とサイダーは合うだろうとピンときたからだ。合わせるサイダーは、りんごの風味が強すぎない日本産の少しドライなものを選び、柚子の香りと味を感じられるようにした。(もっとも、よりりんごを味わえるサイダーと合わせるのも面白いとは思うが。)

まずはサイダーと合わせる前に柚子果汁の酸味を確かめるべく、味見をした。果汁100%の無加糖なので、口に入れた瞬間、爽やかな自然な酸味が一気に突き抜けた。様子をみながら、まずは大さじ1杯をサイダーに混ぜて飲んでみたが、パンチが足りず、もう1杯足した。すると、相性抜群の美味しいドリンクになった。

次に、「土佐のぶしみそ」をどのようにサイダーと合わせるか考えた。柚子果汁ほどではないが、こちらもあまり時間をかけずにアイディアが浮かんだ。もちろん、はじめに試食をしたら、思っていたほどしょっぱくはなかった。その代わりに、鰹節の旨味が味噌の自然な塩味を引き立てていた。このなめらかな口当たりには、発泡性のある酸味を感じられるサイダーが適度に刺激を与え、合うのではと思った。

早速、酸味の異なる2種類の日本産サイダーとぶしみその相性をチェックした。食感と新鮮さを加えるために、ぶしみそは、きゅうり、にんじん、キャベツにつけて食べてみた。結果は、どちらのサイダーも、味噌の複雑な美味しさとうまく調和し、嬉しい発見となった。この大成功のペアリングは間違いなく、定期的に楽しみたい。

今回の体験を通して伝えたいことは、サイダーは、肩の力を抜いて、楽しみながら飲むことが一番だということだ。特定の食材や料理としか合わないと(あるいは、このサイダーだからこの食事と)決めつける必要はない。おそらく、自分自身、ポークパイにはイギリスのサイダー、鶏肉のチリンドロン(鶏肉を煮込んだ郷土料理)にはスペインのシードラを選ぶことが多いだろう。ただ、その合わせ方だけに縛られているわけではないので、皆さまにも柔軟に考えていただきたい。

サイダーは日本ではまだ比較的新しい飲み物であるため、ペアリングにおいて過度な先入観に影響されていないというのはプラス要素だ。一方で、具体的に何かと結びつけたマーケティングができていないことが、サイダーがいまいち売れない理由だと主張する者もいる。しかし、他のアルコール飲料と比べて、イメージが固定されていないサイダーの方が、幅広い可能性を感じさせてくれるのではないか。

初めてサイダーを飲んだ人が、「想像していた味と違う!」と驚く姿はとても微笑ましい。この目新しさや独自性こそ、サイダーをあらゆる方法で体験する醍醐味であり、多くの方と共有したい理由なのだ。これから皆さまと共に、さまざまな「&Cider」を探していくことがとても楽しみです。それでは、また次号でお会いしましょう!

それまでの間、皆さまの&Ciderを是非シェアしてください。

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