ハイライト|バー&シードレリア・エクリプス・ファースト

Bar & Sidreria Eclipse First


以下は雑誌inCiderJapanの第6号に掲載された記事です。


東京都千代田区の神田は、江戸時代、(日本橋、京橋とともに)下町とよばれていたエリアの1つである。世間にはこのように知られているが、もしかすると今後、東京初のサイダーバーがあるところとして歴史に名を残すかもしれない。

Bar & Sidreria Eclipse first(バー&シードレリア・エクリプス・ファースト)は2015年6月15日にオープンした(名前の由来は後に詳しく説明する)。オーナーはバーテンダーの藤井達郎氏。群馬県出身で、高校卒業後、プロボクサーになるため上京した。プロボクサーとして活躍した彼は、引退後、トレーニングにあてていた時間がぽっかりと空いてしまったため、もともと好きだったお酒の世界へ飛び込んだそうだ。

ひとまずバーへ通い始めた藤井氏は、バーテンダーの綺麗な所作や立ち振る舞いに憧れ、バーでアルバイトを始めた。その後、夢中になり昼の仕事を辞め、バーテンダーに転身したのだ。転身後はウイスキーに魅せられ、スコットランドを巡った。約10年ほどの修行期間を経て独立し、Bar & Sidreria Eclipse firstをオープンしたのだ。

店は毎日15時から営業しており、神田駅北口から徒歩5分の場所に位置する。ただ、藤井氏も笑いながら言うように、駅からとても近いのだが、迷いやすい。(何度か店を訪れたことがある筆者も経験がある。)そしてどのバーにも共通して言えることだが、一見入りにくく感じたとしても、気負わず入店していただきたい。Bar Eclipseはお客さまのことをとても温かく迎え入れてくれる。

店内は琥珀色のライトに照らされ、心地よい雰囲気が溢れている。ウッドカウンター(5席)に座れば、藤井氏のバーテンディングを間近で見ながらリラックスできる。ゆったり座れる4名掛けのボックス席も2つあり、少し小さくはあるが2名掛けのテーブルも2つある。

ドリンクの平均価格は一杯900~1200円である。グラスサイダーはバーセレクトの10種類をリストから選ぶことができ、そのほかにもボトルが30種類ほどある。国内産の定番サイダーや新商品以外にも、藤井氏が自ら海外へ行き入手した外国産のサイダーも多数楽しめる。そして、サイダー以外にも、梨から造られるポワレや、アイスサイダー、アップルブランデーのポモウやカルヴァドスも揃っている。もちろん藤井氏が現地へ足を運び、15年の間に探し集めた400種類ものウィスキーが飲めることはいうまでもない。

フードメニューもあるので、ドリンクと合うつまみを選ぶことも可能だ。さらに、土日の15~17時は、未就学児に限り、店自慢の松井りんご園のりんごジュースが無料で提供されることも覚えておくと良いかもしれない。

都会にはウィスキーバーが数多く存在し、都内でも馴染みがあるが、藤井氏はなぜサイダーも取り扱うことにしたのだろうか。本人によると、ウイスキーの産地を巡るためにスコットランドを旅している途中、訪れたパブのカウンターにビールのタップが並ぶ傍ら、必ずといって良いほどサイダーのタップがあったのだそうだ。それをきっかけに、りんごを原料としたアルコール飲料があることを知り、惹かれたのだと言う。さらに、藤井氏の故郷、群馬県沼田市は、関東でも有数のりんごの産地だということもあり、いつか自身のバーをオープンした時、地元の農産物と関わりのあるバーを作りたいという願いも実現させたのだ。

藤井氏はオープン以来、毎年できる限り海外の生産者を訪ね、現地でサイダーを調達し、お客さまに提供している。実は、そんな彼のサイダーに対する情熱が、スペインの新聞に取り上げられたこともある。そしてもちろんBar Eclipseではサイダーが大切な要素であり、藤井氏の本業であるが、彼は裏方としても日本のサイダー業界やコミュニティーと深く関わりを持っている。例を上げると、日本シードルマスター協会の一員として活動をPRしているほか、人気上昇中のりんご狩り&サイダー造りツアーを上州沼田で行っている。

最後に Bar & Sidreria Eclipse firstの名前の由来について説明しよう。

藤井氏によると、もともと動物が好きだったので、バーの名前も動物から取りたいと思っていた。独立の少し前に息子が誕生し、それが午年だったので馬の名前が良いと考え始めた。競馬好きなお客さまに相談したところ、「Eclipse(エクリプス)」という名の競走馬、18世紀前半にイギリスで活躍しサラブレッドの三大始祖といわれる馬について教えてもらった。エクリプスはキングスプレートでの11回を含め18回も優勝を勝ち取った名馬なのだ。当時まだ競馬が確立されていない頃から、無敵を誇り、どのレースも圧勝だったそうだ。当時、エクリプスが出るレースの勝敗を予想屋に聞くと、「Eclipse first, the rest nowhere(唯一抜きん出て並ぶ者なし)」という答えが返ってきたといわれている。 

このように、競走馬のエクリプスが唯一無二の存在として語られたことから、唯一無二の店を目指してほしいという、お客さまの願いを引き継ぎ、この名前に落ち着いたのだ。

Bar Eclipseは、サイダー好きの皆さまが東京を訪れた際には是非一度足を運んでいただきたいところだ。おひとりさまでもデートとしてや友人同士でも、午後のリフレッシュを求めて訪れるも良し、飲みのスタート地点として気軽に入店しても良し、あるいは素敵な夜の町を楽しむために行くのも良いだろう。

バー&シードレリア エクリプス ファースト
〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町2-7-10 廣瀬ビル1階
https://www.eclipse-kanda.com/


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